こんにちは、まちかね太です。
8月6日の札幌5レース・メイクデビュー札幌(2歳新馬)(芝1200)に、広尾サラブレッド俱楽部での出資馬テラステラが出走しました。
今年の我がチームの2歳馬としては一番最初のデビューになります。
まずはめでたし。
テラステラは中間にソエの影響で一度ペースダウンしたので、私は7月の近況まとめに書いた通り、秋デビューになるのではと思っていました。
が、さすがは矢作厩舎というべきか、7月22日に函館競馬場に入厩するとすぐゲート試験を通らせ、入厩からほぼ最短(新馬の初出走にはレースまでの14日間在厩している必要がある)でデビューを迎えることになりました。
この展開になる可能性も頭にありはしたので意外ということはないですが、経緯上当然入厩後の追い本数は少なく、不安がないと言えばウソになるでしょう。
しかし、ワザワザ急いで狙ったレースだけあって出走頭数も手ごろで、メンバーにも事前に図抜けた高評価を受けている名前は見当たらず、テラステラはグリグリの1番人気確実。
ここまでされると流石に
期待感の方が上回ります。
出走経緯に関しては兄カイザーノヴァ・キングエルメスや同厩の先輩バスラットレオンなどのデビュー時と似たような状況という事もあって、「特に問題はナシ。勝って当然、どんな勝ち方をするかに注目」という空気が支配的だったように思います。
結果もそうなってくれると
ええなあ……。
私はネガティブ思考なので不安をぬぐい切れはしませんが、それ以上に期待する気持ちの方が大きいのも事実。
ということで、以下、そんな大きな期待と一抹の不安を抱えて臨んだレースのレポートです。
出走馬プロフィール・テラステラ
テラステラ
(牡2・モーリス×ステラリード by スペシャルウィーク)
栗東・矢作芳人厩舎

ここまでの戦績:初出走
レースまでの状況
21年冬の特別募集(実質1歳馬の先行募集)で募集をかけられた、函館2歳S-G3勝ち馬ステラリードの第7仔。
1800万円募集の全兄カイザーノヴァの倍以上となる3900万円での募集でしたが、この時点でカイザーノヴァがクローバー賞-OP勝ち、半姉パラスアテナが紫苑S-G3で2着、秋華賞-G1で4着という実績を残していたこともあってか、即日完売という人気ぶりでした。
その後、1歳上の半兄キングエルメスが新馬勝ち・京王杯2歳S-G2制覇と活躍を見せたこともあり、テラステラへの期待も否応なしに更なる高まりを見せます。
育成先のシュウジデイファームでテラステラは期待に応えるような順調な成長ぶりを見せ、今年の5月時点で坂路3F40秒を切る時計で登坂、馬体重も480キロ前後に成長。
夏の函館でデビューした兄たち同様、早めのデビューも視野に入っていましたが、6月にソエの兆候が出てしまいペースダウンを余儀なくされてしまいます。
しかし一月ほどで症状は落ち着いたようで、7月最初の近況更新となった7月8日の更新ではまた坂路3F40秒台までペースを戻していました。
とはいえ、この時の育成場コメントが「楽に対応してくれますが、ソエでひと息入れていましたからね。あらためて速めの本数を重ねていければと思います」というものだったので、デビューはしばらく延期し、一旦本州に移動してから初秋くらいに改めてデビューを目指す流れかなと勝手に思っていたら、7月22日の更新で前日にシュウジデイファームを退厩し、函館競馬場に入ったと発表。
7月28日にはゲート試験にもあっさり合格し、追い切りの動きも悪くないという事で、8月6日の芝1200m戦に吉田隼人騎手で挑むことに決まりました。
ちょっと拙速な気も
しますが……
入厩から最短でデビューまで進むだけに、入厩後の速め調教はゲート試験を含めて3本しか行っておらず、シュウジデイでも一度はペースダウンしているので、調教の質はともかく量的には不安が残りますが、「お兄ちゃんも同じような形でレースを迎えていましたので心配はしていません(岡助手)」という事で、陣営的には自信ありげ。
その根拠は、馬の力に対する信頼や兄で実績を残しているローテということももちろんあるでしょうが、レースの相手が(失礼ながら)揃っていないということにもあるでしょう。
まず単純に出走頭数がテラステラ含め8頭しかおらず、この時点で奨励金圏内(T.O.にさえならなければ)の8着は確定。
まあテラステラの目指すところは当然そこではないので勝ち負けのライバルを見るわけですが、事前に新聞などで華々しく何度も取り上げられるレベルの高期待値の馬は(失礼ながら)見当たらず、むしろ出走馬の中にはそれこそ奨励金狙いで登録してきたと思しき馬も何頭か見受けられる有様。
マトモに勝負に来ていそうな馬は、美浦できっちり乗り込んでから北海道に来たセフィロ(父イスラボニータ)や、シルクの刺客メイクアスナッチ(父ルーラーシップ)など、それこそ片手の指で数えられるほどしかいなさそうです。
北海道開催なのであまり関係ないかもしれませんが、関西馬もテラステラの他にはヴェラグエリエロ(父レッドファルクス)1頭のみ。
新馬戦は出走各馬の力関係が全くわからないので、絶対の自信を持ち得ることは私の性格上ありませんが、新聞などの印の付き方を見る限りテラステラはこのメンバーでは完全に力上位の評価を受けているのは明白。
当然このレースがこういうメンバー構成になりそうだという事をリサーチして出走を急いだんでしょうから、そこは流石の厩舎力。
なら大丈夫か!
不安よりも期待の方が俄然大きくなって迎えることになったレース、テラステラの枠は2枠2番に決定。
このコースは2~4枠の勝率が低く、連対率や複勝率は悪くないものの、勝ちを目指すテラステラにとってはあまりいい枠とは言えない……ですが、
まあ8頭立てやし。
吉田隼人騎手の過去3年コース実績も、こと勝率に関して言えば今回出走馬に騎乗する騎手たちの中では「中の下」と言ったところで強調できるものではありませんが、
まあ8頭立てやし。
モーリス産駒のコース実績は13戦2勝2着3着各1回、今回の出走馬たちの中では明らかに上位。
ただし、どの種牡馬も統計上有意なほどの試行回数をこなしていない(というか出走歴10回以下の種牡馬が5頭もいる)ので参考記録の域を出ませんが。
まあ8頭立てやし、いいも悪いも
そんなに気にせんでええやろ。
頭数が少なければ不利を受ける可能性も小さくなりますし、力があれば問答無用で突き抜けられるハズ。
そして当然、力はあるハズ!
レース内容
レース時点の札幌競馬場の天候は晴れ、芝は良。
ただし風がかなり強く、向こう正面では強烈な逆風の形になっているようです。
テラステラは馬体重480キロでパドックに登場。
ちょっと太い……か?
シュウジデイFに居た頃とほぼ同じ体重なので悪くはないようにも思えますが、体型のせいか若干太めに見えます。
一つ前の馬番のコパノエルパソがもっと太く見えたのであまり目立ちませんでしたが。
物見をするような素振りもあり、歩き方もチョコチョコした感じで、これまで配信されていた近況動画での様子と比べてあまり良いようには私には見えませんでした。
まあ気にしない気にしない。
どうせ私に馬を見る目はないですし、良く見えたところで所詮は気休め。
それに初戦からビッシリ仕上げているわけではないのは最初から分かっていたことですし。
人気は一時1.5倍くらいまで行っていましたが、最終的にも1.7倍。
……やりすぎと違うか?
新馬戦やで?
前日からの人気は広尾2000口(3000口)パワーかと思っていたら、最後まで圧倒的人気のままだった。
同じ過程で新馬戦に臨んだ兄たちは、その当時ここまで評価されていたわけじゃなかったんですけど……(そもそも1番人気ですらなかった)。
ここまで期待感に身を任せてきましたが、行き過ぎると逆に不安になってきます。
テラステラの後はセフィロ4.2倍、メイクアスナッチ7.0倍、ヴェラグエリエロ10.9倍と続き、それ以下は20倍以上。
大体予想通りの人気順ではあります。
本場馬入場では、昔私が好きだった栗毛のマイネルレーニアの誘導の後をトコトコついていく感じが可愛らしかったテラステラ、トラブルもなく輪乗りからゲートインへと進んでいきます。
2歳新馬戦でしたが枠入りをゴネる馬もなくあっという間に準備完了、ゲートオープン!
ぐえぇ!?
思わず変な声が出てしまったスタート。
テラステラがたまたまちょっと横を向いたその瞬間にゲートが開き、完全に立ち遅れ。
好スタートから先頭に立ったヴェラグエリエロからはあっという間に4馬身差、テラステラは8頭の最後尾になってしまいます。
逃げ馬をメイクアスナッチ、セフィロらが追いかけていき、そのまま展開が落ち着くかと思いきや、まだ残り1000標識を迎えるか否かという地点でテラステラが外から一気に上昇。
おおぉぉい、早すぎじゃね!?
いくら出遅れを挽回するためとはいえ、まだ向こう正面を走っている段階で向かい風の中をかっ飛ばしすぎではという不安が走ります。
押して上がっているわけではなく、馬が行く気になって上がっているようなので、鞍上と喧嘩しているわけではなさそうなのが幸いではありますが……。
先頭に並ぶヴェラグエリエロとメイクアスナッチの1馬身半ほど後ろの3番手の位置まで一気に上がったテラステラは、そのまま外目を通って3コーナーから4コーナーへ。
札幌の緩い4コーナー、外目を回りながら直線へ向かって押し上げていこうとするテラステラですが、鞍上のアクションに対してイマイチ反応が良くなさそう。
対して、前を行くメイクアスナッチは手応え十分、持ったままで4コーナーを通過し直線へ。
直線手前でムチが入ったテラステラですが、持ったまま2馬身前を行くメイクアスナッチとの手応えの差は歴然。
アカン……。
どう見ても追いつける感じではない。
それどころか、4角で内を掬ってきたセフィロに並びかけられると、競る暇もなくそのままスッと抜き去られてしまい、どうやら2番手確保すら難しそう。
あ~~~~
内で粘っていたヴェラグエリエロは余裕を持って躱したものの、前の2頭の優勝争いは指をくわえて眺めるしかありませんでした。
レースは先に抜け出していたメイクアスナッチが追いすがるセフィロをクビ差抑えて優勝。
テラステラはそこから3馬身遅れての3着に終わりました。
結果
メイクデビュー札幌(2歳新馬)
(札幌・芝1200・良)
吉田隼(54)馬体重480
3着(8頭・1人気)
所感
……ま、まだ始まった
ばかりだし!
期待で不安を押し隠していたわけですが、潜在的な不安は持ったままだったのでそこまで意外な結果ではありませんし、惨敗しているわけでもないのでそこまで落ち込むような結果でもありません。
ありませんが、当然悔しいものは悔しい!
ちくしょー!
まあ今回は仕上がり途上だったと思いますし、出遅れた上におかしなタイミングで上昇してしまったことで最後まで脚が残らなかったという明確なディスアドバンテージもありました(テラステラ自身で招いたことですが)。
あのタイミングで上がっていったことに対しては、騎手に物申したい気持ちは当然ありますが、仮にあそこで馬を押さえつけて折り合いを欠きながら後方に留まっていた場合に3着より上に来れたかと言われればそれも疑問ですし、そうなったときには「折り合いを欠くくらいなら馬の行く気に任せて前に出ろよな~」とか言ってる可能性も大きいので、今回は展開のアヤという事で納めておきたいと思います。
とりあえず、今回で私の出資馬に吉田隼人騎手が乗ったのは3回目ですが、いずれも1番人気でこの3着が最高着順という結果なので、少なくとも私との相性は悪そうだという事はわかりました。
また、レースではメイクアスナッチに見事に勝利をスナッチされてしまった訳ですが、今回のレースの上位2頭に対しては距離適性で後れを取っているようにも見えました。
厩舎側のレース後コメントには「初戦で決める予定でした」とありましたが、不利な状況を自ら作ってしまったとはいえ、少なくとも(軽いとはいえ)病み上がりに急仕上げで相対して楽に勝てる相手と思っていたのはナメすぎでしたね。
油断大敵というか
見誤ったというか。
テラステラについては、ここまでの厩舎コメントで「血統的には」「お兄ちゃんも同じような形で」というような上の兄たちと比定して同様の特性を持っている馬のように扱われているように思え、「テラステラ」としての個性を今のところあまり考慮されていないようにも思えます。
シュウジデイFでは、上と比べつつも「ここまでの感触から、気性や体のつくり、走り方など、兄2頭とは少しタイプが異なる感じに育っていくのかもしれません(4月15日近況より)」と言われてもいるので、兄たちの軌跡をそのままなぞろうとしたのが今回は裏目に出たかもしれませんね。
ま、ド素人に言われるまでもなく次は修正してくれるでしょう
それが出来るから一流厩舎な訳ですし。
さて、悔しいですが負けてしまったものは仕方ないので、次を頑張ってもらいたいところ。
騎手「上がって行けたのは良かった」「気性面や性格を考慮すると、このまま1200mでもイイ」
厩舎側「テンに出して行った際にハミを噛んで行き過ぎるような感じでしたので、おそらく、それが終いの伸びを欠く原因になった」
レース後コメントでは、騎手と厩舎で見解が真逆に見えます。
騎手コメントの「気性面や性格」というのは、ハミを噛んでしまったことを言っているのだとは思いますが、今回はイレギュラーが多かったですし、この一走だけで判断してほしくないなあと思います。
少なくとも育成段階では気性面に大きな問題はないと言われていた馬ですし。
身体にダメージがなければ札幌で続けて使っていく方針のようなので個人的には1500m戦を使ってみてほしいとは思いますが、距離がどうあれポキッといくのは困りますので、とりあえず無理はしない程度にお願いしたいですが。
モーリス産駒のオープン馬には初戦を落としていた馬も多いですが、その場合でも多くは2戦目3戦目で勝ち上がっていましたので、この後こそがテラステラにとって本当の試金石。
今回は叩き台、次でその本領を発揮してくれることを祈って。
それでは今回はここまで。
お読みいただき、おおきにありがとさんです。
(記事中の写真・公式情報は広尾サラブレッド俱楽部様公式HPより許可を頂き掲載しております。)